Kansai Airports


関西国際空港
高潮位による地下水位上昇への取り組み

空港島の地下水の様子 ~止水壁の設置前~

地下水の上昇は、島の構造が関係しています。関西国際空港は、石を積み上げた環境に優しい護岸で囲まれ、その内側を、30cmの大きさの石も含む山を砕いた材料で埋めているので、非常に水の通りやすい構造になっていました。

このため、周囲の海面が上がると、海水が空港島の地下に流れ込んで地下水位が上昇し、海面が下がると地下水が抜けて地下水位が下がります。地下水位を計ってみると、海面の上下の動きとほとんど同じように、地下水位も上下していました。


【空港島の構造(断面図)】


【空港島の埋め立て地盤の様子】


【止水壁設置前の地下水位の状況】

こうした現象に加えて、近年、空港島の周囲の海では、全国的な問題にもなっている、異常潮位と呼ばれる原因不明の海面上昇現象が、数年続けて起こり、潮の高くなる日が多くなったことがありました。

このため、空港の中でも、地盤を低くしている芝地の排水口などでの地下水の浸みだしや、止水が不十分な地下室などでの漏水など、いろいろな不具合が起きました。

地下水位の上昇対策 ~止水壁の設置~

こうした問題を抜本的に解消する対策として、空港島の周囲から海水が地下に流れ込む現象を防ぎ止め、地下水位の上昇を抑えるために、止水壁(地中の壁)の建設を進めました。

この工事は、水を通しにくい沖積粘土層まで約30m掘削して、セメントと土砂を混合した柱を連続して建設するものです。


【止水壁のイメージ】

【止水壁設置前の地下水位の状況】

【工事の様子】

【工事の様子】


【止水壁の場所】

止水壁設置後の地下水位

空港島全体を取り囲む止水壁は順次建設を進め、2006年には、1期島全体の止水壁が完成しました。これにより、異常潮位現象や、台風による高潮が起きても、島内の地下水が上昇することがなくなりました。実質的には、長期的な温暖化による海面上昇や長期的な沈下が起きたとしても空港機能に問題は生じず、地下水問題への万全な対策となります。
2期島においても、止水壁の設置を順次進めていきます。


【止水壁設置後の地下水位の状況】


関西エアポート株式会社は、2016年4月1日より関西国際空港および大阪国際空港の運営権を継承しました。それ以前の運営に関する記事・資料には、当時の運営会社である新関西国際空港株式会社(現:空港所有者)名が記載されていることがありますのでご了承ください。