関西国際空港が造られた海域の海底の地層は、砂や粘土が幾層にも積み重なり、それらは岸から沖に向かって厚くなっています。
地層の一番上には、「沖積層」と呼ばれる、とても柔らかい粘土層が20m程の厚さで堆積し、さらにその下には、「洪積層」と呼ばれる、硬い粘土の層と砂や礫の層が交互に重なった層が、数百mの厚さで堆積しています。洪積層は、上部と下部に大きく分類でき、上部は、強く押せば少しへこむぐらいの固さ、下部は、強く押してもへこまないぐらいの固さです。
沖積層は、最後の氷河期が終わった約1万年前から現在までの、第四紀沖積世(完新世)に堆積した地層です。この時代の関西国際空港の場所は、今と同じように、ずっと海の底で、その海底に1万年かけて堆積した層が沖積粘土層です。
洪積層は、約200万年前~約1万年前の、第四紀洪積世(更新世)に堆積した地層です。この時代は、マンモスが闊歩した氷河期と間氷期が数万年毎に交互にやってきたことで特徴付けられる時代です。氷河期には気温が下がり、海の水は氷となって海水面が下がり、逆に、間氷期には気温が上がり、氷が溶け出して海水面が上がりました。この海面の変動の幅は100mを越えるほど大きなもので、この海面の上下によって、大阪湾も数万年~十万年の周期で、海、湖、陸地へと、その姿を変えていきました。
海の時代には海底に粘土が積もり、海岸になった時代には砂が積もります。これに加えて、大阪湾の海底の岩盤は、地殻の変動によって、洪積世の時代に、ゆっくりと沈み込み、深くなっていきました。深くなっていくのに合わせて、その上に粘土や砂が積もったため、雨や川などで浸食されて地層が削り取られることも少なく、大阪湾の洪積層は、標本のように、粘土と砂がサンドイッチ状に積み重なった地層となりました。このような地層が残されている場所は数カ所に限られ、我が国では大阪湾や別府湾に見られます。