まず、現状のエネルギー消費状況を把握するため、当社が管理する施設のエネルギー使用状況を確認しました。図1に示すとおり、エネルギーを最も消費しているのは旅客ターミナルビルであり、全体の約6割にも及びます。また、旅客ターミナルビルにおいて最もエネルギーを使用しているのは空調設備であり、全体の約7割にも及びます。そこで、最も比率の高い空調設備の省エネルギーに着目し検討しました。
旅客ターミナルビルは南北に広がる国際線ウイングと中央の国内線メインターミナルエリアから構成されています。その中でも、最も大きな空間であるゲートラウンジ(※)の空調に着目しました。
従来は図2に示すように、航空機の発着が無くお客様がいないゲートラウンジを含む全エリアの空調機を運転していました。また、航空機の始発時刻から最終時刻まで毎日運転しており大きなエネルギー消費となっていました。そのため、この空調機を止めることが大きな省エネルギーへと繋がります。
ゲートラウンジの空調機はゲート毎に系統が区分されているので、お客様のいる“時間”と“場所”を特定すれば、空調機の運転時間を短縮することができ、大きな省エネルギー効果が期待されます。そこで、航空機のフライト情報を用いることとし、遅延便やイレギュラー便等のリアルタイムな情報を得る必要があることから『旅客案内情報システム』と連動させることとしました。システムの流れを図3に示します。
航空機のフライト情報を用いて空調するためには、空調範囲と運転時間を決定する必要があります。まず、空調範囲についてですが、出発便に関しては、ゲートラウンジが連続した間仕切りのない大空間であり、お客様が航空機に乗るゲート以外にも自由に行き来ができるため、図4に示すとおり当該ゲートの両サイドのゲートラウンジも運転することとしました。
一方、到着便に関しては、手荷物受取エリアまでの限定した動線であるため、図5に示すとおり、限られたエリアのみの運転としています。
空調機の運転時間については、出発便の場合は、出発前はチェックイン開始時間にあわせて出発時刻の120分前を運転開始時刻としました。出発後は、お客様がいなくなるため停止しています。一方、到着便の場合は、到着前は、空調機を運転してから温度が所定の管理温度に達するのに必要な時間として30分前を運転開始時刻としました。到着後は、航空機から降りたお客様がゲートラウンジを通過するのに要する時間として30分間を運転時間としています。
システム稼働後の運転実績から効果を検証した結果、
詳しくは、以下より発表全文をご覧ください。
情報システムを利威容した効率的な旅客ターミナルビルの空調について