レガシー展示により、大阪・関西万博の熱狂を、空港から未来へ。「カルチャーゲート」としての役割

空港は、ただ人が移動するための場所だと思われがちです。しかし、関西エアポートは、空港を「文化と体験の入口」としても位置づけています。

万博の記憶を未来へ届け、次の体験へとつなぐ。その試みは、万博の後日談ではなく、空港の新しい役割を示すものです。プロジェクトを担当したA.Nさんに、その舞台裏を聞きました。

展示されているレガシーや設置場所など詳細はこちらからチェック!

  • A.N

    関西エアポート株式会社 管理本部 グループコーポレートコミュニケーション部所属。入社後、新卒採用、空港の利用促進、空港のサービスや工事の発注・契約などの業務に携わる。2023年より現部署にて、T1リノベーションのPRや広報業務などを担当。

万博を訪れる人の玄関口として。「ファーストパビリオン」という役割

2025年4月から10月にかけて『2025年日本国際博覧会(以下、万博)』が開催されました。関西3空港は、大阪・関西万博に向かう国内外の来場者や関係者を迎え入れる玄関口として、万博と密接に関わったと思いますが、万博期間中、特に印象に残っている取り組みはありますか?

A.N:

空港を「ファーストパビリオン」と位置づけ、万博を訪れる方にとって最初の体験となる場をつくると同時に、万博に向けた期待感や高揚感を高める「機運醸成」にも貢献したいと考え、空港内のデコレーションに力を入れました。

「ようこそ日本へ」というおもてなしと、万博らしい特別感を両立させるため、ロゴや公式キャラクター「ミャクミャク」を空港内に展開しました。開幕当初は反応も静かでしたが、次第に写真を撮ってSNSに投稿する方が増え、空港からも世相の変化が感じられたのは印象的でした。

期間中は万博協会や地元、自治体、空港事業者など多くの方と一緒に協働してきました。万博が大盛況に終わったことはとてもうれしいです。

万博レガシー展示プロジェクトを担当した関西エアポートのA.Nさん/A.N. of Kansai Airport, who led the Expo Legacy Exhibition Project

空港を「ファーストパビリオン」と位置づけたことで、空港にどんな変化をもたらしましたか?

A.N:

空港を単なる通過点ではなく、「万博体験の入口」と捉える意識が強まり、社内全体で取り組む体制ができました。私自身も社内横断チームの事務局として、デコレーションや、関西エアポートの公式キャラクターである「そらやん」と「ミャクミャク」のコラボ施策を進めました。ほかの部門とも役割を分担し、全社で準備を進めていましたね。

万博に向けた準備のなかで、空港としての大きな挑戦はありましたか?

A.N:

私たちが行った機運醸成とは別に、オペレーション面での横断チームも立ち上がりました。VIPをはじめ各国からのゲストを安全・スムーズに迎えるための警備や動線確保など、関係者と連携して半年にわたって対応しました。玄関口として、安全第一に大きなトラブルなく閉幕を迎えられ、社員一同本当にほっとしています。

万博の記憶を、公共空間へ。空港で展開するレガシー展示の工夫

万博終了後、関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港、神戸空港で万博レガシー展示が行われます。このプロジェクトはどのような経緯でスタートしたのでしょうか?

A.N:

万博終了が近づくなかで、空港として「この経験や記憶をどう引き継ぐべきか」を考えるようになりました。万博協会が施設や備品を再利用する方針を掲げるなかで、社内でも「空港に何か置けないか」という話が浮上したのです。

その結果、パートナー企業にもサポートいただき、海外パビリオンと、寄贈可能な展示品についてのマッチングを始めました。

多くの企業が万博レガシーの企画に取り組むなか、空港が展示場所として選ばれた理由をどう捉えていますか?

A.N:

多くのパビリオンが、万博の展示物を無駄にすることなく、国内外の方が行き交う空港で引き続き活用されることを喜んでくれました。公共的な場所で多くの方に見ていただけるという点も重要なポイントだと思います。

さらに関西エアポートは特色の異なる3つの空港を持つため、来訪者層に合わせて提案できる点も強みでした。結果として、海外パビリオンの展示は関西国際空港、国内パビリオンの展示は大阪国際(伊丹)空港、神戸空港に展示しています。

展示作品を空港に設置するために、特に重視した判断軸はありますか?

A.N:

「アートとしての魅力」と「分かりやすさ」です。特に海外パビリオンの展示は、見てすぐにどこの国のものか伝わることが重要だと考えました。イギリスの赤い電話ボックスやオーストラリアのコアラのように、直感的に理解できて目を引く作品であれば、万博を知らない方にも楽しんでもらえると期待しています。

反対に、苦労したポイントはありますか? ‎

A.N:

最大の苦労は、「どこに置くか」を決めることでした。多くの方に見てもらいたい一方で、設置場所は限られており、作品の重さや大きさ、安定性もさまざまでした。人通りの多い場所ほど設置が難しいというジレンマも。社内の関心が高いゆえに、候補地の意見が多く出る中で最適解を探るのも難しさの1つでした。

特に、関西国際空港は海外利用者が多いため、万博を知らない前提で、目を引く展示物をきっかけに「大阪で万博があったんだ」と興味を持ってもらえるよう、直感的に伝わる見せ方を心がけました。

 

地域に開かれ、思いがけない出会いが生まれる空港へ

今回の万博レガシーの企画で、地域の方に対して工夫したことはありますか?

A.N:

今回のレガシー展示は、興行ではなく、空港の新しい魅力として提供するものです。設置場所を検討した際、地域の方にも見に来ていただけるよう、一部は、飛行機に乗らない方でも行くことのできる場所にも設置することにしました。たとえば、大阪国際空港の展望デッキなどです。

SNSでも「自分の地域に万博のものが来てうれしい」という声があり、レガシーの展示を通じて「近くに空港があって良かった」と感じてもらえたらと考えています。

閉幕後に空港でレガシーを展示することには、どんな意味があると考えていますか?

A.N:

空港は日本や関西の玄関口として、地域の魅力を伝え、次の目的地へつなぐ役割があります。今回の展示も、万博の始まりと終わりを見届けた場所として、その役割を閉幕後も担い続けたいと考えています。

今回のプロジェクトを通して、未来の空港にどういった変化をもたらせそうだと期待していますか?

A.N:

空港は移動のためだけではなく、立ち寄った瞬間に新しい体験や発見が生まれる、「思いがけず面白いものに出会える場所」になっていくと思っています。万博期間中、各国パビリオンの関係者からは、「日本は東京しか行ったことがなく大阪は初めてだったが、新たな魅力を知ることができた」という声も聞きました。

大阪・関西万博を機に高まった世界や関西地域への関心により、今後多くの方が空港を利用して旅をしてくれるのではと期待しています。空港としても、こうした地域の魅力を知っていただく取り組みを今後も続けていきたいです。

 

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“Fly High”とは

より高みをめざし、未来を拓く取り組みを続ける関西エアポートグループの裏側には、空港を支えるたくさんの人の努力や願いが詰まっています。

「Fly High」では空港で働く人、空港とともに育った人、飛行機が好きな人、十人十色なストーリーを通じて、空港に携わる人たちの仕事に懸ける思いと描く未来をお伝えします。