地層の特徴 -海上空港としての技術(1)-

関西国際空港建設地の海底には、複雑な地層構造が存在します。砂層と粘土層が交互に重なり合い、その地層は沖合に向かうほど厚くなる特徴があります。このような特殊な地質条件により、空港の建設・維持には技術的な工夫や対策が不可欠となっています。

地層の基本構造

沖積層と洪積層の構成

関西国際空港が造られた海域の海底の地層は、砂や粘土が幾層にも積み重なり、それらは岸から沖に向かって厚くなっています。地層の一番上には、「沖積層」と呼ばれる、とても柔らかい粘土層が20m程の厚さで堆積し、さらにその下には、「洪積層」と呼ばれる、硬い粘土の層と砂や礫の層が交互に重なった層が、数百mの厚さで堆積しています。洪積層は、上部と下部に大きく分類でき、上部は強く押せば少しへこむぐらいの固さ、下部は、強く押してもへこまないぐらいの固さです。

空港島の地盤構成を示す立体断面図。1期空港島と2期空港島の下に、沖積層、上部洪積層、下部洪積層といった地層が重なっており、それぞれの層の平均的な深さが数値で示されています。2期空港島は、沖積層: 平均 24m、上部洪積層: 平均 180m、下部洪積層: 平均 300m~500m。1期空港島は沖積層: 平均 18m、上部洪積層: 平均 140m、下部洪積層: 平均 200m

地層の形成過程

沖積層の形成(最終氷河期後~)

沖積層は、最後の氷河期が終わった約1万年前から、現在までの第四紀沖積世(完新世)に堆積した地層です。この場所は1万年前から現在まで一度も陸地になることなく海底のままで、その間に少しずつ堆積物が積み重なって沖積粘土層が形成されました。

洪積層の形成(約200万年前~)

洪積層は、約200万年前~約1万年前の第四紀洪積世(更新世)に堆積した地層です。この時代の特徴として、氷河期と間氷期が数万年ごとに交互におとずれたことがあげられます。氷河期には気温が低下し、海水が氷となって海水面が下がります。一方、間氷期には気温が上昇して氷が溶け、海水面が上昇しました。この海面変動の幅は100mを超える大きなもので、この海面の上下により、大阪湾は数万年~十万年周期で海、湖、陸地へとその姿を変えてきました。

大阪湾特有のサンドイッチ状地層構造

海の時代には海底に粘土が堆積し、海岸となった時代には砂が堆積します。さらに、大阪湾の海底の岩盤は、地殻変動によって洪積世の時代にゆっくりと沈み込み、深くなっていきました。この沈み込みに伴って上部に粘土や砂が堆積し続けたため、雨や河川による浸食されて地層が削り取られることも少なく、大阪湾の洪積層は、まるで標本のように粘土と砂がサンドイッチ状に積み重なった地層となりました。このような地層が残されている場所は世界的にも珍しく、我が国では大阪湾や別府湾に見られます。