集中豪雨への取り組み
雨水用排水ポンプの設置
関西国際空港に降る雨水は排水管を通って海に流れる仕組みとなっています。当初は、島の内部から外側へ向かって傾斜をつけた排水管により、雨水を自然に海へ排水していました。しかし、海に近い護岸付近は島の中よりも沈下が小さいため、次第に排水管の傾きが緩くなり、特に護岸付近では排水機能が低下してきました。この問題を解決するため、排水管の出口にポンプを設置し、雨水を効率的に排水できるように改善しました。設置したポンプは、10年に1度の規模である時間雨量55mmの大雨にも対応可能な能力を備えています。
雨水用排水ポンプの設置場所
耐震化への取り組み
耐震補強
空港島内には、円滑な道路交通を確保することから、多くの高架道路が存在します。これらの高架道路について、阪神大震災クラスの大規模地震が発生してもお客さまが安心して利用でき、また地震後も利用できるよう耐震補強を実施しています。


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コンクリート充填補強のみでは耐震性能が確保されない箇所について、鋼製橋脚の外側に補強用の鋼板(リブ)の取り付けを実施。 |
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桁と橋脚の接点に設けられている支承が破損した場合に備え、桁の移動量を制限し、桁がずれないように補強を実施。 |
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変位制限装置が壊れた場合に、桁が橋脚から落下しないよう、PCケーブルにより桁と橋脚を連結。 |
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支承が破損した場合に路面に発生する段差を最小限にとどめ、被災直後において早期に緊急輸送路としての供用が可能となるように補強を実施。 |
台風への取り組み
台風による高波への対策
2018年の台風21号(Jebi)では、護岸を越えた波により空港島内が浸水し、滑走路の冠水など大きな被害を受け、空港機能の完全復旧までに2週間以上を要しました。
この経験を踏まえ、関西国際空港では、大阪湾で記録が残っている最高の潮位(第2室戸台風を想定)の際に50年に一度に相当する高波が来襲しても耐えられる高さまで護岸のコンクリートをつぎ足し、かさ上げを実施しました。また、地盤沈下に応じて定期的にかさ上げを行い、安全性を確保しています。

護岸のかさ上げイメージ

護岸のかさ上げ工事の様子
高潮位への取り組み
高潮位による地下水位上昇への対策
地下水の上昇は、島の構造が関係しています。関西国際空港は、石を積み上げた環境に優しい護岸で囲まれ、その内側を30cmの大きさの石も含む山を砕いた材料で埋めているため、非常に水の通りやすい構造でした。このため、周囲の海面が上がると、海水が空港島の地下に流れ込んで地下水位が上昇し、海面が下がると地下水が抜けて地下水位が下がります。

空港島の構造(断面図)
こうした問題を抜本的に解消する対策として、空港島の周囲から海水が地下に流れ込む現象を防ぎ、地下水位の上昇を抑えるために、止水壁(地中の壁)の建設を進めました。この工事は、水を通しにくい沖積粘土層まで約30m掘削して、セメントと土砂を混合した柱を連続して建設するものです。

止水壁のイメージ

止水壁設置前の地下水位の状況

止水壁の場所
2006年に1期島全体の止水壁が完成し、異常潮位や台風による高潮時の地下水上昇を防止しています。この対策により、温暖化による海面上昇や沈下が発生しても空港機能への影響を防ぐことができます。2期島でも順次止水壁の設置を進めています。