大阪国際空港における災害等への取り組み

大阪国際空港は、集中豪雨による浸水被害への対策として、これまでさまざまな施設整備を実施してきました。以下では、雨水貯留管施設と緊急放水路の整備による具体的な取り組みを紹介します。

集中豪雨への取り組み

雨水貯留管施設

1994~1999年にたびたび起こった集中豪雨では、大阪国際空港における施設拡張および周辺地域の都市開発の影響で、空港への雨水流出量が増大し、空港ターミナル施設及び空港周辺住宅地が浸水するなど甚大な被害が発生していました。この課題に対応するため、大阪府と国との連携のもと、大容量雨水貯留管施設を整備しました。本施設は、時間雨量49mmを超過する降雨時において、余剰雨水を効果的に貯留する機能を有しています。

 No.1管理棟とNo.4管理棟をつなぐ雨水貯留管の断面図。幹線排水路の水位が上がると、せき(粗目スクリーン)を越えた水が取水口から内径5.75mの巨大な雨水貯留管へ流れ込む仕組みを示しています。

雨水貯留管施設の貯留イメージ

巨大な雨水貯留管の内部を撮影した写真

雨水貯留管内の状況

貯留管の内径は約5.8m、全長は約1.8kmあり、約45,000㎥の水を溜めておくことが可能。溜まった水は幹線排水路の水位が下がるのを待ってポンプで水を汲み出し、幹線排水路へ流します。
2005年:工事着手、2008年2月:完成、2008年7月:供用

緊急放水路等の整備

関西エアポートでは、近年の気候変動に伴い集中豪雨による浸水被害リスクへのさらなる対策として緊急放水路なども新たに整備しました。さらに緊急放水路内の水位を監視してアラートを自動的に発信する設備を整備し、アラートに基づいて旅客ターミナルビルなどにおける止水対策を迅速に実施する仕組みを構築しました。これにより、1時間に133.5mmの既往最大クラスの豪雨の際に旅客ターミナルビルが浸水するリスクを解消しました。

空港の航空写真と、豪雨対策の排水路の位置を示した図。旅客ターミナルビルを囲むように、流入水排水路、幹線排水路、緊急放水路が配置され、さらに雨水貯留管施設が地下を通っていることが示されています。

雨水貯留管施設・緊急放水路等の位置図

豪雨時の雨水の流れと浸水対策を説明する図。まず空港外からの水を流入水排水路で防ぎ、次に幹線排水路がいっぱいになると、緊急放水路やターミナル入口の止水板で、駐車場やターミナルビルへの浸水を防ぐ、という段階的な対策がなされています。

緊急放水路の内径は1.2m、全長は約460m。流入した水は道路・駐車場エリアよりも広いエプロンエリアへ流します。
2020年:工事着手、2021年6月:完成・供用